目次
トクホ商品の宣伝で誇大広告されてしまった難消化性デキストリン
この記事は難消化性デキストリンの効果を好意的に紹介する記事なんですが。
それを貶めたトクホについての批判を最初に書きます。
トクホ商品のいかがわしさ
トクホ商品のいかがわしさについては2017年ぐらいから暴露されはじめて、その審査のいい加減さとそのお墨付きが管理されない実態が明らかにされました。
その直接のきっかけとなったのはその前年、初の許可取り消しとなったトクホ製品が出たことです。
サプリメント株式会社が、血圧が下がることを謳い文句にして販売していた商品が「有効成分がほとんど含まれていない」という理由により販売中止となりました。
ここで問題なのはそれらの商品は販売中止になる2年前から「有効成分がほとんど含まれていない」ことがわかっていたのに長い間放置されていたことです。
つまり監督するはずの消費者庁は2年もの間、効能を信じて購入した人たちに損害を与えていたんです。
実は損害を受けた人の中には私もいます。
当時少し血圧が高くなっていましたんで、「かつお節オリゴペプチド」配合の商品を2回ほど購入しました。
トクホに指定された商品は割高ですので。
騙されたと気づいた方が声を上げるようになり。
週刊誌などの雑誌やネット上でも取り上げられるようになりました。
それから3年以上も経ちましたので、流石に今はトクホ商品とか機能性商品とかに反応する方はいらっしゃらないのではないかと私などは思っていました。
ところがまだまだトクホ商品が宣伝通りの効果があるもんだと思っている人がたくさんいるんですね。
それはトクホ商品を販売しているメーカーが散々批判されたことには馬耳東風。
平然としていまだに「科学的に立証されている」「臨床データがある」などと宣伝を繰り返し。消費者を騙しているからです。
目を覚ましていただくために当時様々な媒体でくり広げられた批判をいくつか紹介しておきます。
これらは当時かなりインパクトが有ったもので、週刊誌ネタによくありがちな煽りが少なく。
本質をついていると思われます。
週刊新潮は大キャンペーンを張りました^^;
そして今でも読む価値があります。

トクホのスターだった難消化性デキストリン
トクホ商品のうち、ドリンク類の殆ど(トクホ商品全体の三分の一)は難消化性デキストリンが入っているという一点でトクホ商品の認定を受けています。
その効果は、というと
「難デキは水溶性の食物繊維で、デンプンを加工処理した物質のことです。トクホの制度が発足してから20年ほどの間、国が許可した難デキの効能を謳うための文句は整腸効果または血糖値への言及のみでした」(群馬大学名誉教授の高橋久仁子氏)
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/03300801/?all=1
ということなんですが、その後、トクホのコーラなどでは「おなかの調子を整える」以外に、「食後の中性脂肪が気になる方に適する」「食後の血糖値が気になる方に適する」といった宣伝をするようになります。
しかし後ろの2つに関しては全くの嘘(直接の因果関係はない)であることがはっきりしています。
週刊新潮の記事は以下の様の記述しています。
千葉大学名誉教授の山本啓一氏(生理学・生化学)だ。山本氏によれば、トクホ商品の多くが根拠としている論文は、難デキの主要な製造元である「松谷化学工業」の研究者らが作成したもの。そこでは、難デキを摂取した実験群と未摂取の比較対照群を比べ、糞便として排出された脂肪量が前者は「1・44グラム」、後者は「0・77グラム」と、排出量に2倍の差がついたとの実験結果が記されている。
だが、ここに数字上のゴマカシが――。それぞれが摂取した「脂肪量」に対する“排出されなかった脂肪量の割合”を計算すると、「実験群は97・4%、対照群は98・6%。その差はわずか1・2%です」sponsored link
これは生物学の世界では誤差の範囲であると、山本氏は指摘。難消化性デキストリンに、脂肪吸収抑制の効果はないのだ。
大本の〈松谷の07年論文〉について、早々にバツ印をつけていた組織がある。
〈この参照資料からは、主張されている効能を科学的に立証するためのいかなる結論も導き出し得ない〉
11年にそう判断した欧州食品安全機関(EFSA)は、難デキの食後血糖値上昇抑制効果についても、〈因果関係は確認されていない〉と結論付けている。
トクホをめぐるまやかしの数々については上記で紹介をした記事や、そこからご自分で広げていただければ、と思います。
問題は数年前に完膚なきまでに否定されたそれらの効果を未だに宣伝に盛り込んで売っているということ。それを止めるはずの行政が機能していないということです。
難消化性デキストリン自体には効果がある
さて、さんざん批判されている難消化性デキストリンですが。
それは誇大な広告のせいであったり、効果を盛ったメーカーの捏造研究データのせいです。難消化性デキストリン自体にはそれなりの効能があります。
難消化性デキストリンを餌にして腸内で短鎖脂肪酸ができることの意味
難消化性デキストリンは体内では9割以上が大腸まで届き、腸内細菌の餌となります。
腸内菌が餌を食べることを発酵といいます。その際腸内菌が短鎖脂肪酸を作り出すのです。発酵すると酸っぱくなりますが、それです。
そして大量の餌があればそのぶん短鎖脂肪酸も増えるわけです。
短鎖脂肪酸には素晴らしい効能があり。
大腸から体内に吸収されて、さまざまな部位で生体調節機能を果たしますし。
また短鎖脂肪酸ができると腸内が弱酸性に保たれるため、発がん物質ができにくくなり、さらには弱酸性下ではミネラルが水溶性に変化しますから吸収しやすくなり、ミネラル不足を補うことができます。
ビフィズス菌なども増加させます。
つまり、難消化性デキストリンだけで健康になるわけではないのですが、それを含めた体の様々な働きによって健康が保たれる、ということにはなるのです。
またカロリー的にも通常の消化される炭水化物は1グラム当たり4キロカロリーの熱量ですが。
難消化性デキストリンは1グラム当たり1キロカロリーなのでそれを追加したからと言って太る要素もありません。
難消化性デキストリンは使い勝手が良い
あとは使い勝手が良いということです。
食物繊維を補給する目的であればとても便利です。
何しろ無味無臭。
トクホコーラを飲まずとも、今は袋で粉末が安く売られていますし、断然安いです。
そして溶けやすいですから、殆どのものに混ぜられます。
腸内菌の餌になるものとしては、私は焼酎の水割りや、ハイボールに入れて飲んだりしていますし、料理にふりかけたり。うどんのスープに混ぜたりしていまして。
私の食生活にはこの難消化性デキストリンは欠かせないものになっています。
短鎖脂肪酸を増やすことができる原料としてはレジスタントスターチ(でん粉性の食物繊維、難消化性デキストリンもこの部類)、非でん粉性の食物繊維、オリゴ糖など他にもたくさんあります。
身近にあるレジスタントスターチとしては片栗粉があります。
これは非常に優れている難消化性デンプンで、片栗粉ダイエットにも活用されていますが。
熱のあるものに入れると固まりますし、少し溶けにくいので、お酒に混ぜるというわけにもいきません。
デンプンに比べ、難消化性デキストリンのほうが値段的には少し高いですが、応用範囲は広いです。

まとめ
難消化性デキストリンは食品メーカーの誇大な広告や行政の怠慢で、本来の効能が広く知れ渡っているとは言えません。
実際には食物繊維の補充にはとても優れたものです。
トクホ商品などを買わずに、安い粉末(フランス産とかの安い海外産のもので充分)を購入し、様々場面に使うことにより、お腹の調子を良くし、快便生活が満喫できます。
大事なことは正しい知識を得て、それを活用していくことです。
企業は売るために誇大広告を打ってきますが、そんなものに惑わされずに、賢い選択をしていきたいものです。
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