お正月の楽しみの一つは福袋。何が入っているかわからないドキドキ感が魅力です。支払う金額よりも遥かに高い商品が入っていたりすると、宝くじに当たったようなお得感が得られます。
特に欲しかったものでなくても何故か嬉しくて、そのイベント感が楽しいですよね。
ただ最近はそのドキドキ感を悪用して、福袋用の安物商品を作って売ったり、在庫処分品を入れたりする場合も多く、決してお得で無いものも有ります。
ネットでそういう悪い評判はすぐに伝わってきますので、正しい情報を仕入れて良心的なお店で賢く買い物をしたいものです。
「福袋」とは?
一言で言えば様々な商品を詰め込み、お客様に中身がわからないような形で口を閉じて販売している袋のことです。
一般的には新年のイベントとして販売されます。
ただ現在では「ネタバレ福袋」として、内容が事前に知らされているものもあります。
また福袋というものを中身がわからないけどお宝が入っていますよということで季節を問わずに企画物として販売されたりもするようになりました。
「福袋」という言葉の由来
元々の福袋とは、福の神として有名なあの大黒天さまが打ち出の小槌とか米俵と共に抱えている大きな袋のことを指します。でもあの中には今の福袋のように物が入っている訳ではなく、「幸運」とか「幸福」が入っていて大国様がやってくるとその袋の中から福を分けてくれるんだそうな。
私達が福袋を買う場合もただ単にお得だから買っているわけではなくて、それを買うことによって幸運を分けてもらうという気持ちが多分にあります。
大黒さまとは
ところで大黒様ってどんな神様なんでしょうか。
大黒さまといえば、左肩に大きな袋(福袋)を背負っています。そして右手に打出小槌を持ち、米俵を踏んでいます。いかにも幸せを体現してそうな神様です。
実際日本に伝わる神話の因幡の白兎に出てくる大黒様は大変に慈悲深い神様です。
でもそんな慈悲深い神様に「黒」という字が当てられているのは不吉です。なぜなのでしょうか?
そのルーツは、サンスクリット語でマハーカーラと呼ばれるインドの神様で、シヴァ神の化身です。
シヴァ神といえば破壊を司る神様です。
そしてシヴァ神が世界を破壊すべく暴虐の限りを尽くすときマハーカーラ(大いなる暗黒)と呼ばれる黒い姿に変身するのです。
マハーは大、カーラは黒色を意味するので日本では「大黒天」と呼ばれるようになったのです。
だからルーツを辿れば実に恐ろしい神様なんです。

引用元:http://himaring.com/daikokuten
ところが、この大黒と大国が同じ音であると言うことと、神仏習合で、「大黒天」と大国主命のエピソードが交じり合うことによって「大黒天」は日本独自の神様になりました。
それでも最初は天災と豊穣の神様として信仰されましたが次第に破壊の面は薄れて豊穣の面が強調されるようになって食物や財宝を司る福の神になっと言われています。
それが「大国様」です。
福袋販売のルーツは?
福袋販売の始まりに関しては諸説あります。
福袋という言葉が大黒様に由来するために宗教的な意味があると考える方もいるようですが、どうも純粋に営業上の立場から名づけられたようです。
日本では宗教的なものでも平気で商業利用します。
古いものでは百貨店・大丸の前身大丸呉服店が江戸時代に端切れ(裁断した後の半端な布切れ)などを袋詰めにして初売りで販売したという記録があるそうです。
その中に金色の帯が入っているものがあってそれが「当たり」と思われていたようです。
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また松屋起源説というものもあります。
これは明治時代。
松屋新築後初めての新年の一月二日三日四日の三日間に一日二千個の福袋を1袋2円で売り出しました。
中には3円相当のものもあるという売り出し方をしていました。
その他にもすでに江戸時代から仙台では初売りが行われていたとか、永楽園という御茶屋(大正8年)がはじめた、名古屋の「いとう呉服店」(現・松坂屋)が福袋の起源だとか。様々ありますが、いずれにしても「福」を買うという感覚は昔から日本に根付いていることを伺わせます。
近年では、アメリカでも「lucky bag」「mystery bag」などといった福袋を新年に売り出していますから幸福を呼ぶ福袋は世界中に広まっていくのかもしれませんね。
福袋の評判は?
福袋は絶対買うな!初売りセールの鉄則を、アパレルのプロが明かします | 女子SPA!
上記サイトでは非常に厳しい福袋批判が行われています。
アパレルスタッフなら多くが理解していることですが、実は「普段よく買うお客様」と「正月に福袋を買うお客様」は客層が異なるのです。福袋を買う人は「もともと気になってはいたけれど、買うには至らないお客様」であり、この人は「福袋」でしかそのブランドを買わない、というケースが多いのです。
「安くてたくさん入ってるなら試しに買ってみようかな」と思う人がほとんどで、客層がそもそも違うのです。
「宣伝目的にもしかしたら良品が入っているかも」と淡い期待を抱き福袋に手を出す人も少なくないですが、実はそもそもブランドがターゲットとしている客層とは異なるため、シビアな言い方をすれば「福袋で宣伝してもしょうがない」のです。
だから福袋は多くのブランドにとって「在庫処分」の手段です。どうにも売れないものを詰め込むためのもの。
だというんですね。なんとも小馬鹿にした話です。でもある意味これが真実だと思います。
福袋は、元来、メーカーや小売店における在庫処分の意味合いが強い。つまり、在庫コントロールができず、余った商品が多いというのは、メーカーとして在庫コントロールができていないことの証左。それをあたかも価値があるように見せて売ってきたのが「福袋」だとも言える。あるアパレルメーカーの社員は「接客しても売れない商品を売る最終手段。我々関係者はプライベートでは絶対に買わない」と言い切る。
無印良品は同じ理由で福袋をやめたんだとか。
江戸時代に呉服店が1年の裁ち余りの生地をまとめて売ったことに端を発するとされる福袋。400年以上の歴史を経て、「余り物」を売るだけではありがたがられない時代の到来で、その姿は変貌を遂げようとしている。
ということで。在庫処分のための福袋は消える運命にありそうです。
まとめ
福袋について調べてみました。
もともとは幸運を分けてくれる袋だったんですね。でも福袋を担いでいる笑顔の大国様のルーツが恐ろしい神様だったなんて意外でしたね。また福袋をうりはじめたのは江戸時代からで、結構最近始まった(といっても一番古くて江戸時代ですが)行事だったこともわかりました。
でも今は余り物をさばく手段としての福袋商法が蔓延した結果。福袋に込められた「幸せのおすそ分け」という意義は踏みにじられ。
今までのような福袋は消えていく運命にあるようです。非常に残念ですが。仕方がありません。
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